芥川賞・直木賞候補作の特集棚で、寂しそうに取り残されていたこの作品。
そういうの見てられなくて借りてしまう。。。
でも、やっぱりノミネートされるだけあってとても良かった。とても良いのに表紙が地味だからかな。タイトルが硬いからか?なんだか、乗代雄介さんの作品のような。。。『旅する練習』とか『皆のあらばしり』とかめっちゃいいのに、あんまり読んでる人いなくて分かち合えない感じ。せつない。
この作品は、「言語とアイデンティティ」の話なのかな。文章は、レイチェル・カーソンさんの『センス・オブ・ワンダー』を思い出させる、自然の香りのする穏やかな語り口。父と母と過ごした実家に久々に帰り、そこは父が開墾した地だと感じたんじゃないかなと思った。
私も、大学から実家を離れ現在の地で過ごし、そのまま家庭をもって家も建てて、ここが私の開墾地だと思う。地元の方言で育ってきた幼少期よりも、ネイティブじゃないけど今の言葉で育んできた今の自分と生活を愛しく思う気持ち、少しわかる。人から見たら滑稽なところもあるのかもしれないけど。
今日もやっぱり寂し気に書棚に立っているこの作品、どうか誰か手に取ってくれますように。。。